この点に絡めて、国会での教育論議に一石を投じる意味も込めて、私自身のささやかな提案をしてみたい。
内外の英知を集めて、小、中、高校生のための〈副教材〉をつくるという、教材開発Nショナルプロジェクトの提唱である。 学習指導要領の改訂による教育内容の削減とともに、教科書がどんどん薄くなっている。
しかも、学校や教師による創意工夫か求められるにもかかわらず、結局は教育現場での教科書まかせの姿勢は大きく変わりそうもない。 そのうえ、学習指導要領は最低基準だと言われるようになっても、細部にわたる教科書検定制度の縛りはいまだにきつい。
検定教科書では思うような教材開発ができないのである。 そこで、教科書としてではなく補助教材の開発を立ち上げるのである。
教育内容のミニマムースタンダードをわかりやすく理解できるものであるとともに、より高度な内容についても進んで自学自習ができるものをめざす。 紙ベースを主としたマルチメディア教材となろう。

1Tの利用を視野に入れるのもよい。 一流の学者、教師、メディアープロデューサーなど内外の英知を結集し、3~5年程度の時間をかけて、教科書検定の枠にとらわれずに、21世紀に通用する教材開発を急ぐのである。
唯一のものをつくるのではなく、複数のものを同時につくる。 政治が内容に介入しないようにもする。
「国定」ではない補助教材の作製をめざすのであり、作製のプロセスにコンテストの考えを取り入れるのもよい。 すぐれたアイデアや作品には、制作費に加え褒賞も与える。
知識の伝達にかぎらず、「考える力」を付ける内容も盛り込もう。 まずは学力低下が心配されている算数.数学や理科からスタートする。
教員の質の低下を補うための対応策にもなる。 さらには、教材作成の副産物として、高校入試や大学入試に活用できる入試問題の開発を行うのもよい。
考えるに値する良問がたくさんつくられれば、受験競争はかならずしも悪ではなくなるからである。 人件費を含めたこれら一切の開発費と、普及にあだって補助や褒賞を費用と考えれば、無駄な公共事業をいくつか取りやめる程度の予算で、21世紀の教育の基礎づくりとなる教材開発が可能となる。
数学や理科などは外国語に翻訳し、教材開発費の乏しい途上国などに無償で提供すれば国際貢献にもなると、夢は広がるものの、教科書検定制度への批判とも皮肉ともとられかねないこの提案は、国会レベルの議論からはほど遠いのかもしれない。

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