=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
集客アップへの努力
観光が日本の新世紀を拓く――。観光が国家戦略として位置づけられて「観光庁」が発足した。観光産業が未来産業になることが想定されると同時に、社会的地位の向上へ。『観光立国宣言』の実現へ一歩前進し、観光元年の年となった。20数年前から「観光は世界平和につながる」と強調し、政治の場で努力を続けられた二階俊博・経済産業大臣に聞いた
―観光の推進は世界の平和につながるとして、政治の立場から長い間、推進し努力を重ねられた立場から、「観光庁」の発足にはひときわ感慨深いものがあろうかと思うが、そこからお話をうかがいたい。
二階俊博・経済産業大臣
観光を推進するスタートとなったのは、運輸政務次官のときに貴社のインタビューに応じたころからだった。以来この20年近く「観光は地域の活性化の重要な柱になる」と位置づけて、観光に人一倍関心を持って取り組んできた。ようやくこの数年「観光立国」の重要性が多くの人に理解され始めて、「観光立国推進基本法」も43年ぶりに超党派で成立し、「観光庁」が発足することになった。思えば長い道のりだったが、感慨深いものがある。
観光立国の意義は多々あるが、特に人口は減少し、少子高齢化が進むわが国において、観光は、地域における消費の増加や新たな雇用の創出など幅広い経済効果や地域の方々が誇りと愛着を持つことができる活力に満ちた地域社会の実現に大きく寄与することになる。また、社会のグローバル化が進む中で、草の根の市民が交流することによる外国との相互理解・平和へ貢献、さらに訪日外国人がもたらす大きな経済的効果、特に成長を続けるアジアの活力をわが国に取り入れていくといった観点からも、観光立国の実現は、21世紀のわが国経済社会の発展のため不可欠な重要な課題でもある。
「観光庁」という組織の設置が最終の目的ではない。これからの時代のわが国が世界で大きな存在感をもって生きていくためにも、観光立国の早期実現に向けた「観光庁」の取り組みに期待している。また観光の関係者も「観光庁」をどう活用していくかを真剣に考えてほしい。
―「観光庁」発足迄の紆余曲折のプロセスは、すでに観光業界でも周知の通り(本紙でも再三掲載)で観光が長い間の物見遊山から国策として重要な未来産業であることが位置づけられて、観光立国推進のための体制が強化されたことになる。「観光庁」に期待するところは何か「観光庁」はこれから何をやるのか、大臣の視点でうかがいたい。
二階大臣
それは説明するまでもなく、「観光庁」の任務は観光立国推進基本法に定められた4つの基本的な政策の柱、すなわ(1)国際競争力の高い魅力ある観光地の形成(2)観光産業の国際競争力の強化、観光の振興に寄与する人材の育成(3)国際観光の振興(4)観光旅行の促進のための環境の整備――を進めるということである。
―具体的にはどうなるのか。
二階大臣
そのために、「観光庁」は、観光立国推進基本計画に掲げられた5つの基本的な数値目標の達成を目指すということだと思う。仕事を進める上で、「観光庁」に期待することがある。観光は魅力ある街づくりに取り組む地域の方々や旅館、飲食店、旅行業などを営む民間の事業者が主役だ。そうした多くの関係者を先導し、利害が交錯するときは調整役を担い、また成功した地域や事業者のノウハウなどを全国に広め底上げを図るなど、観光立国の実現に向けて「けん引役」、「調整役」、「縁の下の力持ち」として関係省庁、自治体なども含めて幅広い関係者の連携を図り総力を結集して、観光立国の実現を目指してほしい。
またこれまでも「ビジット・ジャパン・キャンペーン」に取り組んできているが、日本の素晴らしい自然や伝統文化、地域の伝統芸能・工芸そしてアニメやフアッションなど現代文化も含めて、日本の素晴らしいものをどんどん世界の多くの人に知ってもらい、世界の中で日本の存在感を大きなものとして、多くの人の交流が生まれるような、そういう情報発信にもっともっと取り組んでいってほしい。
さらに、中国、韓国は大切な隣国だ。3国間の交流の活発化はわが国の経済社会の活性化に不可欠であると思う。特に青少年など若い世代を中心とした交流の輪の促進にもっと力を入れてほしい。
―さきに経済産業大臣としてインタビューをしたときに、大臣は「経済界が観光を推進することも政策の大きな柱だ」として産業観光などを指摘し、観光振興に努めると述べているが、3度目の経済産業大臣として改めて観光に対する大臣の所見を述べてほしい。
二階大臣
さきに経済産業大臣であったときに、新経済成長戦略をとりまとめた。サービス産業への支援を経済産業省の政策の大きな柱の一つとして位置づけた。その中でも、観光・集客サービス分野の振興は、雇用創出効果が大きく、また人と人、地域と地域の交流につながるものであり、地域活性化の観点からも重点分野と方向づけた。さらに、今般、資源高などの大きな状況変化を踏まえ、この改訂版を策定し、今後の基本方針とすべく、9月19日に閣議決定を行ったところだが、この改訂版においても、世界の成長を国内経済に取り込むことや地域活性化のため、観光立国の実現に向けた積極的な取り組みを推進していくこととしている。
一方で、観光・集客サービスに対する消費者のニーズが多様化するなど、観光業界を取り巻く環境は変化している。この状況に対応するために現在、経済産業省においては、それぞれの地域に眠っている資源を活用した観光・集客サービスの取り組みを支援している。
例えば、温泉や農産物などの地域の強みを掘り起こして、マーケティングで支援することや富岡製糸場などのわが国の産業の近代化を支えた工場を産業遺産として認定することで、地域の魅力の再発見につなげている。加えて、地域観光・集客サービスの質を高め、イノベーションを生み出すことのできる人材の育成を支援している。
―当然、観光の推進では国土交通省との連携も欠かせないことになる。
二階大臣
「観光庁」を創設した国土交通省との連携もさらに強化していきたい。前回の大臣時代に提唱した同省との人事交流(平成18年7月より、経済産業省の商務情報政策局サービス産業課参事官に国土交通省職員が出向中。また観光庁参事官として、経産省職員が出向中)も実現している。また、海外の富裕層に対して“本物の”日本の伝統文化などを発信し、質の高い観光を求める旅行者を呼び込むラグジュアリー・トラベルマーケットの整備を国土交通省と連携して取り組んでいるところだ。両省の得意分野を活かした魅力ある観光地づくりと付加価値の高い観光・集客サービスを実現していきたい。
今年10月18日〜21日に、ジャパン・ラグジュアリー・トラベル・フォーラムなどを開催するが、富裕層旅行に従事する海外バイヤーと、日本の関連事業者との商談会やフォーラムなども実施する予定になっている。
今、石油高騰のあおりで高速道路を利用する企業や人が困っている。8月に政府・与党でとりまとめた緊急総合対策において、高速道路料金の引き下げを盛り込んだが、これにより、地域に人を呼び込み、観光・集客サーズスの振興につなげていきたいと考えている。経済産業大臣として、引き続き真正面から観光・集客サービスの振興に努めたい。
―今、旅館・ホテル業界、とりわけ観光・温泉地の宿は、金融機関の貸し渋りはおろか、融資はストップ状態にある。元利金を支払って凌いでいるところでも、窮地に陥っている。自助努力では限界にきているところも多い。金融機関へバブル時代に膨大な金利を支払っているはずだ。元利金を返済しないというのではなく、金融機関の元利金返済期間の延長ぐらいはできるはずだ。訪日外国人観光客は、観光・温泉地の日本の伝統文化や日本の心(もてなし)などに魅力や感動を覚える。これらの宿が廃れていく現状を軽視できない。大臣は「観光振興のために中小企業に対する対策を欠かせない」と指摘しているがどうか。
二階大臣
その通りだ。中小企業が窮地にあることは十分承知している。経済産業省が農林水産省や国土交通省とも連携して進める「中小企業地域資源活用促進法」の活用や、日本政策金融公庫などの旅館業に対する特別貸付など、がんばる中小企業を応援していきたい。適切なところに相談してこれらを利用してほしい。
―二階大臣は、個人的にも「観光業界は票≠熄oない。もっと政治に関心を持ち観光の未来を見つめるようにしてほしい」と言われたことがある(観光立国推進基本法の制定を自民党プロジェクトチームの座長として推進し、さきの参院選で落選した藤野公孝前参院議員のことを指摘)。ご指摘の通りだと思う。今度の総選挙では、何としても与党へ旅館業界の組織を挙げて「票」を集めるように啓蒙したい。
二階大臣
観光業界はどういうわけか政治に関心が薄い傾向があるような気がする。「観光庁」が始動してそれなりの効果や実績を認識してくると、今、観光が国家戦略として位置づけられて、観光政策はいろいろな角度で推進されることが分かり、理解を深めることになるだろう。「観光庁」が省庁の横断的な役割を果たすことになるが、経済産業省もさきに説明したように、観光・集客サービスを担当する部署もあり、あらゆる面で、これまで以上に大いに観光の推進へ努力したい。
―大臣は3度目の経済産業大臣に再任となった。産業界や中小企業(旅館・ホテル業界も含めて)の期待も大きい。共同記者会見での事項にも説明を加えてほしい。
二階大臣
総理から3点にわたって指示があった。それはまず、日本が有する強みを世界市場で発揮してさらにそれを国内の豊かさにつなげる成長戦略を展開する。次に、総合的な資源外交を展開する。併せて、資源高時代に対した経済構造と、「低炭素革命」に取り組む。重複するが、さらに中小企業の資金繰り対策も含めて、厳しい経済情勢に対応して必要な措置を機動的に講ずる。この3点だ。すでに緊急総合対策を決めているが、これは地域経済や中小企業の活性化、大変な期待を込めて地域の皆さんが考えていられるわけだから、出来るだけ早く国会で審議していただくことを期待している。
中小企業の皆さんは今、何とか凌げても、年末には「うちの会社はどうなるのか」というようなことで心配している方が少なくない。そして「あそこの会社もつぶれた。ここの会社も廃業した、あるいは転業した」ということを聞くにつれて、本当に胸が締めつけられる思いがする。それは政治に携わっている者として当然のことではあるが、こうした中小企業の活動、生活などを引き受けている経済産業省を指揮する立場に立つとその思いはひとしおだ。従って中小企業の皆さんが活動しやすいような状況をつくっていくために、しっかりした対応をしたい。
そのためにも、中小企業に対する金融、とくに年末の金融に対して、抜かりなく対応し皆さんの不安感を除くことに全力を尽くしたい。
さらに観光業界にも無関係とはいえない戦略的資源外交と同時に、アジアの経済統合などを推進するため、東アジアASEAN経済センター、いわゆる「ERIA」というものを発足させたばかりで、このことも大いに世界経済の荒波の中で、われわれがアジアの皆さんと一緒に立ち向かっていくことについて、しっかりと対応していきたい。
―大臣は「観光は平和へのパスポート」という標語をよく認識されて「観光が国を救う」として、政治家の中で、ただひとり利害なく観光立国の推進へ、長い間の挑戦を続けられた。本社も同調して、観光立国宣言を本社テーマとしてバックアップしてきた。観光業界が悲願とした「観光庁」のスタートには感慨深いものがある。
二階大臣
指摘されてみると、実現までの道のりは容易ではなかった。小泉首相時代に、自民党に合流したときに、いくつかの条件を提示したが、その中の項目のひとつに「観光立国を実現すること」(そのコピーが手元にある)を織り込んだ。それがなんとか翌年の国会の施政方針の中に入ることになり、国土交通大臣が観光立国担当大臣になった。行政もよく頑張り続けてくれた。貴紙にも後押ししてもらった。